JR Passはお得?アンケート調査の結果を発表
日本を旅行する外国人観光客が注目しているサービスのひとつジャパン・レール・パス(通称JR Pass)。北海道から九州までJR各社の鉄道やバスを利用し放題というお得なサービスは、外国人観光客の間で絶大な人気を誇っていました。
しかし、2023年10月1日の料金改定により、JR Passの料金が値上がりし、外国人観光客の間で物議を醸しています。
そのため、弊社ではTokyo(Japan) Cheapoのユーザーに、値上げ後のJR Passをお得と感じているかどうか、アンケート調査を実施しました。その結果を発表します。また、その結果の理由も分析しているので、ぜひご覧ください。
アンケート調査結果とJR Passの販売数の変化
JR Passについてユーザーにアンケート調査を実施した結果と、Tokyo(Japan) CheapoでのJR Passの販売数が、値上げによりどのような影響を受けたかについてお伝えします。
- ユーザーアンケート調査の結果
- 値上げ後のJR Passの販売数の変化
ユーザーアンケート調査の結果
「JR Passはお得だと思いますか?」という質問でユーザーにアンケート調査を実施しました。下記のグラフはその結果を示しています。
なんと結果は「Yes」が40%、「No」が60%。つまり、半数以上の60%のユーザーが「お得ではない」と感じていることが分かります。
その理由は、新幹線の通常料金と比較して、JR Passのお得さを感じなくなったからと推測されます。
値上げ後のJR Passの販売数の変化
弊社はJR Passの販売促進を目的として、JRグループと約10年以上提携していますが、JR Passは外国人観光客からとても評価が高く、販売状況も好調でした。
しかし、2023年10月の料金改定により、Tokyo(Japan) CheapoでのJR Passの販売数は、2023年4月と料金改定後の2024年4月を比較すると90%以上も減少したのです。
JR Passの概要と変遷
次に、JR Passとはどのようなサービスなのかや購入方法の変遷、どのくらい値上がりしたかなどについて具体的に解説します。
- JR Passとは?
- JR Passは誰が使える?
- JR Passの購入方法は?
- どのくらい値上がりしたの?
JR Passとは?
JR Passとは、JRグループ6社(北海道・東日本・東海・西日本・四国・九州)が共同して提供するパスで、北海道から九州まで外国人観光客がJR各社の鉄道・路線バスを自由に利用して旅行できる特別企画乗車券です。
JR Passの選択肢は、グリーン車用と普通車用の2種類。さらに7日間・14日間・21日間の3つの利用期間のパスがあります。
JR Passは誰が使える?
JR Passを使える利用資格者は、海外から「短期滞在」の観光目的で訪れる短期旅行者のみです。
ちなみに、日本に旅行で訪れる外国人だけではなく、海外に連続して10年以上住んでいる日本人も利用できます。
JR Passの購入方法は?
現在、JR PassはJRの公式サイトからインターネットで直接購入が可能ですが、実は公式サイトから直接販売を開始したのは2020年6月1日。
2017年3月7日以前までは日本国内での購入ができず、基本的には日本国外のJR指定販売店や代理店のみで販売されていました。
2017年3月8日から2021年3月31日までは日本国内でも購入が可能になったのですが、その際の料金は海外での購入よりも高めに設定されていました。
そのため、多くの外国人は日本に到着する前に海外の代理店で引き換え券を購入し、日本国内の交換所で実際のパスに交換するのが一般的だったのです。
どのくらい値上がりしたの?
実際にJR Passの値上がりはどれくらいだったのかを具体的に見てみましょう。
以下は、JR Passの改定前と改定後の期間別の料金表です。
※2023年4月14日時点の情報で、「現行価格」は2023年10月1日より前で料金改定前の料金を示しています。
例えば、普通車用の7日間パスは改定前には29,650円でしたが、2023年10月1日から50,000円に引き上げられたのです。
どちらがお得?JR Pass VS. 新幹線の正規料金
現在、料金改定後の7日間パスは50,000円ですが、外国人観光客の旅行先の定番とも言える東京・京都・広島に旅行する場合の新幹線の正規料金と比較してみます。
- 東京⇆京都(往復)
- 東京⇆広島(往復)
- 東京→京都→広島→東京(東京〜京都〜広島を往復)
1. 東京⇆京都(往復)は通常の正規料金の方が安い
東京〜京都は通常の新幹線(のぞみ)の普通車指定席の正規料金は片道14,170円、往復で28,340円です。東京から京都を旅行する場合に新幹線だけの利用で考えるならば、50,000円のパスを購入するより通常の正規料金で購入した方が圧倒的に安いと言えます。
ちなみに、料金改定前のJR Passの料金と新幹線の往復の正規料金はほぼ変わらない金額でした。
2. 東京⇆広島(往復)は通常の正規料金の方が安い
東京〜広島は通常の新幹線の普通車指定席の正規料金は片道19,760円ですが、東京〜広島で往復チケットを購入する場合は往復割引が適用されます。
往復割引とは、片道601km以上のJR線を往復利用した際に運賃を1割引にする制度です。往復割引は運賃のみが割引対象で、新幹線特急料金は割引になりません。
往復割引利用時の東京〜広島の指定席の片道料金は18,570円、往復で37,140円です。
7日間で東京〜広島を途中下車しないで旅行するのであれば、正規料金で普通車指定席を購入した方が12,860円安いと言えます。
3. 東京→京都→広島→東京も通常の正規料金の方が安い
- 往路:東京→京都→広島(26,110円)※東京〜京都 14,170円+京都〜広島 11,940円=26,110円
- 復路:広島→東京(19,760円)
- 合計:45,879円
京都で途中下車した場合は、東京〜京都の通常の新幹線(のぞみ)の普通車指定席の正規料金は片道14,170円、京都〜広島の片道は11,940円なので往路の片道の合計は26,110円。
復路の広島〜東京間を途中下車しないで乗車した場合は19,769円。往復でかかる料金は合計で45,879円です。
つまり、京都で途中下車して観光したとしても、新幹線のみの乗車で考えるなら通常の正規料金の方が安いと言えます。
仮に、7日間で複数の場所に途中下車して旅行するのであれば、金額的にはお得になるかもしれません。
しかし、大忙しの旅になってしまいます。
まとめ
新幹線を利用した旅は、新幹線からの富士山や日本の景色を楽しみたい、世界最高クラスの速度で運行される日本ならではの「新幹線」を体験したいなどの理由もあり、必ずしも金額面だけではなく、その魅力は依然として人気です。一方で、JR Passの料金改定により、余裕のある旅程で旅行を楽しみたい外国人観光客にとっては正規料金の方が安いことから、「以前ほどJR Passにお得感を感じなくなった」という意見が6割を占める結果となったと考えられます。
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