「日本旅行は安い」は本当?5人に1人が「予算より安く済んだ」と回答
円安・世界の物価高の影響で、「旅行先として日本は安い国」という認識はもはや意外な話ではないかもしれません。実際に日本を訪れた外国人観光客は、その日本の物価に対して一体どのような感想を抱いているのでしょうか。そこで、Tokyo Cheapoのユーザーを対象に旅行費用が予算内に収まったか、それとも予算オーバーしたか、アンケート調査を実施しました。(調査期間:2025年6月3日〜19日)
その結果、5人に1人が「旅行費用が予算より少なく済んだ」と回答したのです。この記事では、外国人観光客がどのような方法でお金を節約して旅行できたのか、また予算オーバーしたユーザーは何が原因だったのか、具体的に掘り下げていきます。
5人に1人が「予想より安く済んだ」という結果に
まず、「最近、日本を旅行しましたか?」という質問をしたところ688人から回答がありました。その中で「Yes」と回答したユーザーは42.4%。そのユーザーを対象に、さらに深く掘り下げ、日本への旅行経験者に「旅行で使った金額は、事前に立てた予算と比べてどうだったか」を質問したところ、興味深い結果が出ました。
- 予算通り: 37.3%
- 予算オーバー: 42.4%
- 予想より安く済んだ: 20.3%
半数近くが予算を超えた一方で、5人に1人(20.3%)が「予想より安く済んだ」と回答しています。つまり、予算内で旅を満喫し、お小遣いを残して帰国しているのです。
予算オーバーが42.4%で、予算内に収まったのは57.6%。この数字だけを見ると、日本の物価に対する評価は二分されているように感じられます。しかし、この「予算オーバー」と「安く済んだ」という二つの相反する意見は、日本の旅行体験の奥深さを物語っています。
日本旅行が「予算より安く済む」4つの理由とは?

Photo by Maria Danuco
「予想していたより安く済んだ」と感じた人々の多くは、日本の日常に根ざした、以下のような理由で「安さ」を体験しているようです。
期待をはるかに超える「食費の安さ」とクオリティ
欧米圏の国のレストランでランチを食べたら2,000円〜3,000円以上かかります。日本のコンビニエンスストアやスーパーマーケットで手軽に買える高品質な弁当や惣菜、チェーン店の定食などは、予想以上に安く、しかも美味しいと評価されています。
例えば、某チェーン店では、牛丼ランチが450円〜500円以内で食べられます。特に、外食中心の旅行になりがちな欧米圏の旅行者にとって、この手軽で美味しい選択肢は食費を大幅に抑える要因になっています。
安くて便利な公共交通機関
日本の公共交通機関は発達しており、路線が複雑に見えるかもしれませんが、乗り換えアプリを使えば誰でも簡単に利用できます。タクシーに頼らずとも、バスや電車で安価に目的地に移動できることは、旅行の総費用を抑える上で非常に重要なポイントです。
また、お得なJRの周遊パスやメトロの乗車券付き観光チケット「Tokyo City Pass」などもあります。
街歩きが最高のお金のかからない体験に
街歩きするだけで楽しい観光スポットに触れられることも魅力の一つです。公園、寺社の境内など、入場料を払わずに楽しめるスポットが非常に多く、桜や紅葉のシーズンに公園を散策したり、活気あふれる商店街を歩くだけでも、十分に日本の文化を体験できます。これらは、予算を気にせず満足度を高められる要素として高く評価されています。
治安の良さが生み出す「金銭的な安心感」
治安の良さは、旅行体験の満足度を高めるだけでなく、金銭的な安心感にもつながります。夜遅くまで安心して歩き回れることや、持ち物を盗まれたりするリスクが少ないことは、余計な出費を防ぐ要因となります。
「予算オーバー」の理由とは?宿泊費と「体験」への投資

Photo by Maria Danuco
では、「予算オーバー」と回答した人たちは何にお金を使ったのでしょうか。掘り下げて分析してみると、その傾向が見えてきます。
宿泊費の高騰
特に都市部のホテルや旅館は、コロナ禍以降の観光客急増に伴い料金が上昇傾向にあります。日本の宿泊施設の料金設定が「高い」という声は多く、これが予算を大きく圧迫する最大の要因となっています。
アクティビティや体験
伝統工芸のワークショップ、茶道体験、忍者体験など、日本ならではの文化体験にはまとまった費用がかかります。しかし、これらは「日本でしかできない特別な思い出」として、多くの観光客が惜しみなくお金を払っています。
買い物
伝統的なお土産から、アニメグッズ、ファッション、電化製品まで、多岐にわたる魅力的な商品が揃っています。円安の影響で海外から見れば安価に購入できるものが多いため、ついつい予定外の買い物をしてしまう人が後を絶ちません。
高級な食事
安価な食事が豊富にある一方で、高級な寿司店や懐石料理、和牛などを楽しむために高額な出費をする旅行者も多くいます。「せっかく日本に来たのだから、本物の味を体験したい」という欲求が、予算オーバーの主な原因となっています。
満足度の高さが「予算オーバー」を払拭する

Photo by Aimee Gardner
ここで注目すべきは、予算オーバーしていると回答した42.4%のユーザーが「日本旅行に満足している」かどうかです。つまり、使った金額に対して十分な価値を感じているか。
「予算は超えたけれど、それだけの価値があった」「この体験のためなら、もう少しお金を使っても良かった」といった声は少なくありません。これは、日本の「質の高さ」が大きく関係していると考えられます。
例えば、宿泊施設は高いけれど、イギリスやアメリカで同じ金額を支払っても同じクオリティのホテルには泊まれない現状もあります。つまりコストパフォーマンスの良さを感じている可能性が高いのです。
サービスの質
飲食店やホテル、公共交通機関など、あらゆる場面での丁寧なサービスは、海外の旅行者にとって好感度は高いと言えます。
商品の質の高さ
日本で販売されている食品やお土産、生活用品などは、品質が非常に高いと評価されています。
体験の質の高さ
日本ならではの文化や伝統に触れる体験は、他の国では得られないものです。
つまり、外国人観光客は、日本を単なる「安い旅行先」として見ているのではなく、「安く抑えようと思えば抑えられる」。一方で、「お金をかける価値が十分にある国」としても捉えているのです。
まとめ
今回の調査から見えてきたのは、半数以上が予算以内で旅行費が収まっていることです。日本は『工夫次第で予想以上に安く旅ができる国』だということです。コンビニの美味しい食事や発達した公共交通機関、そして無料で楽しめるスポットを上手に活用すれば、予算を大幅に節約しつつ、充実した日本旅行を満喫できるでしょう。そして、もう一つは日本が持つ「二面性」です。賢く旅をすれば予想以上に安く済ませられる。一方で、心惹かれる体験や買い物、食事が多いため、つい財布の紐が緩んでしまう。しかし、その結果としての「予算オーバー」も、日本でしか得られない質の高い体験によって、彼らは十分に納得し、満足しているのではないでしょうか。
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